パルパルパピヨン’s diary

なんでも書くのです。

NHK 「AIがテレビを変える」をみて

昨日放送のNHKAIがテレビを変える」をみました。私はAIが昨今のテレビ離れをどのように引き起こしたのかを探る番組とばかり思っていたのですが、全く違いました。番組の趣旨は、AIがいかにテレビ業界を助けるのかということでした。

 番組の趣旨からは離れますが、私は人間学専攻の者ですので、AIがどのような影響を人間に及ぼしうるのかについての現状把握と、AIが日常に介入することで、今後どのような人間像が構築されうるのかについてを考えてみたいと思います。

 まず、AIの現状ですが、大きな争点として「情報のパーソナル化」が挙げられます。YouTubeNetflixなど様々なソーシャルメディアAI技術を駆使し、“あなたへのおすすめ”機能を導入しています。過去に見た動画のジャンルやその視聴時間、見終えたタイミングなどをAIが学習し、その時点における最も視聴されるであろう作品を提示します。なんと、その他にも好きな女優や俳優をリストアップし、サムネイルとして提示することで、視聴時間を向上させようとすることもできるようです。しかし、このような自身の趣味嗜好に合ったサービスを受けられるのは便利で嬉しいことではありますが、その反面フィルターバブル(自分の好みの泡の中だけで生活すること)になり、他者への非寛容意識を育みかねないという懸念もあります。

加えて、「自身における選択性の欠如」を生み出しかねないという点も指摘しておきます。“あなたへのおすすめ”機能は、確かに自身の趣味嗜好の反映ではありますが、そのお膳立てをしてくれているのはAIです。このいわば「過度の押し売り」によって、私たちは自身が自身についてを確かに選択している訳ではなく、選択させられているのです。この環境が常態化すれば、マリオネットのような虚偽の運動をさせられることとなり、自分が心から本当に望んでいる「やりたいこと」を自分の力で見つけることができる人間にはなれないのではないでしょうか。