パルパルパピヨン’s diary

なんでも書くのです。

「正常である」と示すことは医学にもできない

最近、聞いてショッキングだったお話があります。医学に精通されている知り合いの先生からお聞きしたのですが、医学の分野に「正常」はない―つまり、治療とは、間違いなく「健康である」状態へ導く行為ではない―ということです。これには驚かされました。

先生が仰るには、正常とは「異常でない状態」のことであり、異常とは「正常でない状態」のことであるようです。医療の先生方は実際はどのように完治の判断をされているのでしょうか?

病状を引き起こす因子(例えば、脳腫瘍)が取り除かれた後、先生方が治療が完了したと判断されるのには、病状がなくなり、検査結果が一般人と同じ程度のレベルになったか否かに依存するようです。例えば、こちらは予防の例になりますが、血圧計の正常範囲は、最低血圧80以上かつ最高血圧120以下とされています。これは「この範囲に入っていれば健康である」ことを意味するのではなく、「世間一般の人々の大多数はこの範囲に入っている」(正確には標準偏差±2SD以内なので、全体の96%程度)ことを示します。この範囲には、健康な人のみが入っている訳ではありません。全体の96%程度ですので、健康な人や病人の方々も含まれています。正常範囲に入っている人々がその後も健康であったことを示す調査がなされている訳でもありません。

これにはとても驚かされました。医学とは学問の中でも特に客観性を重んじる分野だと考えていましたから。医学における「正常値」とは、全体のうちの大多数の人々が占める範囲だったのです。